【ワンポイントレッスン】~賃金計算における端数処理~
《問題》※〇か✕で答えてください 【労働基準法 】
賃金全額払の原則における端数処理について、1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げることは労働基準法に違反する。
《解答》
✕
本問の場合、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、違反とされない。
《解説》
労働基準法における端数処理の考え方
労働基準法は、労働者の保護を目的としています。
そのため、賃金計算において、労働者に不利となる端数処理は原則として認められていません。
ただし例外もあります。
不利になる場合であっても、
- 影響がごくわずかであること
- 事務処理の簡便さのメリットが大きいこと
このような場合には、一定の端数処理が認められています。
認められている端数処理(5つ)
労働基準法で認められている端数処理は、次の5つです。
① 時間数の端数処理
1か月における時間外労働・休日労働・深夜業の合計時間について、
1時間未満の端数がある場合は
- 30分未満 → 切り捨て
- 30分以上 → 1時間に切り上げ
② 時間単価の端数処理
1時間あたりの賃金額や割増賃金額に1円未満の端数がある場合は
- 50銭未満 → 切り捨て
- 50銭以上 → 1円に切り上げ
③ 割増賃金総額の端数処理
1か月の割増賃金の総額に1円未満の端数がある場合も
- 50銭未満 → 切り捨て
- 50銭以上 → 1円に切り上げ
④ 月額賃金の端数処理(100円単位)
1か月の賃金支払額に100円未満の端数がある場合は
- 50円未満 → 切り捨て
- 50円以上 → 100円に切り上げ
⑤ 翌月への繰越
1か月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数は、
翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことが可能
ポイント整理
- ①〜③:割増賃金の計算に関する端数処理
- ④〜⑤:月の賃金支払額に関する端数処理
なぜ認められているのか?
少し感覚的に考えてみましょう。
①のケース
1か月で30分未満ということは、
1日あたりにすると「1分程度」です。
この程度であれば、
「計算の簡便さ」を優先するのも納得できますよね。
②〜④のケース
「銭」という単位は現在使われていません。
そのため、四捨五入的な処理は
実務上も自然な対応といえます。
⑤のケース
1000円未満(数百円程度)であれば、
翌月にまとめて支払っても大きな不利益とはいえません。
違法となる典型例
試験でよく問われるのが、次のパターンです。
1日ごとの時間外労働について、30分未満を切り捨てる処理
これはNGです。
例えば、
1日に29分残業したのに、それが丸ごとカットされたらどうでしょうか?
かなり不満ですよね。
👉 このように、日単位での切り捨ては不利益が大きいため違法です。
まとめ:暗記より「感覚」で判断
端数処理の問題は、一見するとややこしく感じます。
しかし、
- 「それって自分がやられて納得できるか?」
- 「不利益は大きいか小さいか?」
この視点で考えると、意外と簡単に判断できます。
結論
労働基準法の端数処理は、
👉 常識的な感覚で判断できる“サービス問題”
として押さえておきましょう!

